エンジニアに入社してもらえるように説得する方法 (Harj Taggar)

Harj TaggarTriplebyte (YC S15) の共同創業者兼 CEO です。Triplebyte は、最高のエンジニアが世界で最も早く成長する企業で働く機会を、最小の時間と努力で見つける手助けをする会社です。Triplebyte を創業する以前、Harj は YC のパートナーでした。

 

雇いたいと思うエンジニアを見つけることができた後の最後のステップは、彼らに対しあなたのチームに加わってもらうためのオファーを提示すること、そして彼らがそれを受け入れるよう説得することです。この記事ではあなたが提示するオファーが受け入れられる割合を増やすためのアドバイスを紹介しています。私はTriplebyteで働くようになって以来、オファーが受け入れられる割合が会社によって大きく異なっていることに驚かされ続けています。Triplebyteを活用している会社の間では、オファーが受け入れられる割合は最低で10%、最高で90%となっています。

エンジニアへのオファーを行うためには費用がかさむものです。良い候補者を見つけ出すには時間がかかるものですし、さらにその後の技術に関する電話スクリーニングや会社での面接のために、エンジニアチームは何時間も費やさねばならなくなります。あなたはおそらく、オファーを1回行うために、会社での面接を5回は行わなければならないでしょう (この業界における標準としては、会社での面接がエンジニアへのオファーへとつながる割合はおよそ20%程度です)。インタビュー1回につきエンジニアの時間を6時間使うことになると仮定した場合、エンジニアの生産性が30時間分失われることになるわけです。このような費用のことを考えれば、オファーを受け入れてもらえるようにするために全力を尽くすのは、経済的に見て理にかなっていると言えます。

オファーを受け入れてもらえる確率を上げるための取り組みは、オファーそのものを提示する遥か以前から始まります。まず最初に行うことは、段階的にオファーへとつながっていく、素晴らしい候補者体験をデザインすることです。候補者とあなたの会社が交流する際は毎回、彼らからシグナルを引き出さねばならないのと同時に、あなたの会社へ加わることへの興味を刺激し続けられるよう、バランスを取らねばなりません。そのためにまず始めなければならないことがあります。単純な事のように思えるかもしれませんが、「返事をすぐに返すこと」です。

スピード

こちらのブログ記事を読んでみて下さい。求職活動を行っているエンジニアからの視点における、素早く行動すること、すぐに返事を返すことの重要性について書かれています。素早く行動する、すぐに返事を返すなどということは当たり前のアドバイスのように思われるかもしれませんが、行動するのが遅いばかりに良い人材を逃してしまう会社を私達は未だに見かけます。そうしたことが起こる理由は2つあります。

1つ目の理由は無秩序化です。候補者を管理するための秩序だったシステムを維持するのは大変なことです。よほど頑張って対策を講じない限り、そうしたシステムは往々にして無秩序な状態へと向かっていくものです。このことは特に、より多くの人材とプロセスを伴う、規模が大きな会社に当てはまります。規模が小さなスタートアップの場合、速さはエンジニアの獲得競争において大きなアドバンテージとなります。

速さを活かしやすくするために、ソフトウェアを使って候補者の状態を管理、追跡できるようにしましょう。最初の頃はスプレッドシートやAirtableといった、単純なものを使えば良いでしょう。あなたの会社が成長し、面接官からのフィードバックを集めるために面接パネルを設立する必要が出てきたら、そうしたものを卒業してLeverのような本物のATS (Applicant Tracking System: 応募者追跡システム) を使用し始めるべきでしょう。誰がレビューについて責任を負うかを明確にし、毎日候補者の状態に基づいて行動するようにしましょう。

2つ目の理由は心理学的なものです。あなたの行動が遅かったせいで応募を止めてしまった候補者について、どのみち自分の会社には興味がなかったのだと考えるのは簡単な事です。それは間違った理由付けであり、そのせいで将来、良い候補者を逃してしまうことになるでしょう。求職活動のプロセスを素早く管理することは、特に大変多くの選択肢を持つ最良の候補者を相手にする場合に重要なこととなります。あなたがが返答する前に応募を止めてしまった候補者を偶々逃してしまったと考えるのではなく、失敗と考えない限り、最良の候補者と契約を結ぶための機会すら得ることはできないでしょう。

採用活動のプロセスを秩序だった物とし、かつすぐに返事を返すことができるようにすることができたら、次は各候補者との交流の質を最適化することに取り組みましょう。各候補者との交流は、一番最初に電話をかける所から始まります。

最初の電話

候補者への最初の電話は、一般的におよそ25分間かかります。私は以下の話題について話すことをお勧めします。

  1. あなた自身、会社、そしてあなたが取り組んでいる仕事について紹介する。
  2. 候補者に自己紹介と、彼らが次の役職において何を重視しているのかを語ってもらうようお願いする (もしあなたが彼らと早い段階で接触しており、彼らが積極的に求職活動を行っているわけではないと分かっていた場合、次のようなよりソフトな形にすることができます。例「将来のキャリアやスキルの発展について、どのように考えていますか?」)。
  3. スキルや経験についての質問を尋ね、彼らがあなたが探している人材と一致するかどうかを確かめる。
  4. 会社で現在行われている仕事や、なぜ今会社に加わると面白いのかということを売り込む。
  5. 会話の終了時に彼らのあらゆる疑問について回答し、今後の採用プロセスのステップについて説明する。

電話が終了するまでの間、候補者に聞きたいことについて質問させ続けるというのはよく見られるやり方です。私はそうしたやり方は次善であると考えています。なぜならそうしたやり方では電話の最中に売り込みを行う機会を逃してしまうからです。

もしあなたの会社がアーリーステージ (社員が20名未満) である場合、こうしたエンジニアの候補者との電話でのやり取りは常に創業者が行うべきです。一般的に、あなたの会社にはエンジニア出身の創業者が1人、そして非エンジニア/営業出身の創業者が1人いるはずです。このような電話でのやり取りについては、例え技術的な挑戦について詳細を語れない人間であったとしても、営業出身の創業者が行うことを私はお勧めします。そうすることで、エンジニア出身の創業者が邪魔を受けずに製作に励むことができる時間が増えるからです (クリエイターのスケジュールと経営者のスケジュール)。営業出身の創業者には少なくともエンジニアに対し、エンジニア出身の創業者と直接会い、この会社の技術についてよりよく知ってもらえるよう説得できるだけの、営業としての能力がなければなりません。

あなたの会社が成長するに従い、あなたはリクルーターを雇うことになるでしょう。そして一般的に、彼らがこのような電話を担当することになります。彼らが成功するよう、以下の事をすることをお勧めします。

  1. リクルーターに対し、候補者への最初の電話を何回行ったか、そして候補者が会社に来ることを辞退した割合がどれぐらいになったかについての、月毎のレポートをあなたに提出するよう求めましょう。リクルーターに対し、候補者が次の段階に進むことを辞退した理由のリストを作成させるようにし、そのようなリストをリクルーターと共に継続的に見直すことで、売り込みの方法を改善してください。
  2. リクルーターに対して、自分の会社の興味深い技術的挑戦について話すための方法をトレーニングさせるために、エンジニアを1人割り当てましょう。彼らに模擬の売り込みを聞かせ、フィードバックを提供させ、それを繰り返させてください。会社がリクルーターに対し、自分の会社について売り込むための最良の方法について学ぶための手助けを全く行わず、後でコンバージョン率が低いことについて文句を言うのを、私はよく目にします。そのようなやり方は彼らに対して公平とは言えませんし、あなたにとっても最善とは言えません。
  3. リクルーターに技術的な審査を行うための質問をさせることは、基本的にリクルーターはエンジニアではないため、難しいものです。このことは、エンジニアとリクルーターの間での交流における、最も厄介な側面であると言えます。彼らがこうしたことを上手く行えるよう、支援やシステムを提供するようにしましょう。私からの助言は、彼らに特定の技術的な質問をさせるようにすることです。私が見かけたアイデアで、複数の会社で使用され良い効果を発揮していたものに、リクルーターのために複数の選択肢があるフォーマットを作成してあげる、というのがあります。リクルーターは複数の回答を読み上げ、候補者はその中から自分に一番合うものを選べば良いのです。これはリクルーターが自信をつけ、より良い候補者体験を提供できるようになるための助けとなります。
  4. あなたが取り組んでいるのが非常に技術的な製品で、主要な顧客、またはトラクションが未だに存在していないとします。そのような場合、少なくとも特に有望な候補者相手であれば、私は最初の電話を行う人間にエンジニアを推奨します。こうした事例においては、あなたの主要なセールスポイントは技術的な挑戦の困難さにあるため、そうしたことをうまく売り込むことのできるリクルーターを見つけるのは非常に困難なことだからです。

テクニカルな電話スクリーニング

もし最初の電話が上手く行った場合、あなたは通常、候補者をエンジニアとの技術面での電話スクリーニングの段階へと進ませることでしょう (Triplebyteを使用している会社はこのような電話スクリーニングを飛ばし、一気に会社での面接へと進んでいます)。こうした電話スクリーニングでは通常、45分間の間に候補者がコーディングの問題や画面共有に取り組みます。私は電話スクリーニングのために丸1時間を割り当てることをお勧めします。45分間の間に技術的問題への対処を行わせ、最大15分間を候補者とエンジニアが互いに質問を行うための対話に使うのです。

こうした電話スクリーニングに対しては、理想としてはあなたの会社を売り込むのが最も上手いエンジニアを選択したい所です。このような体験をより候補者にとって心地よいものにするための方法はいくつか存在します。例えば電話の最中、いくつかの問題の中から解決するものを候補者に選ばせる、といったやり方です。こうした事を行うにはより多くの手間がかかりますが、候補者が自分の得意としている問題で実力を発揮できるのであれば、彼らはよりポジティブな感情をあなたの会社に対して持つことになります。また、候補者に誰かが作った環境ではなく、自分独自の環境を使ってコーディングを行わせ、画面共有を行わせるのも良いでしょう (ただし、例えばCoderpadのような環境は優れた協力および記録のための機能を備えているという利点があります)。

技術に関する電話スクリーニングが上手くいった場合、次のステップは会社での面接となります。

会社での面接

会社での面接は、候補者とあなたのチームが初めて直接会う機会となります。面接の日全体にわたって候補者が経験したことは、彼らの結論に対する重要な要因となります。面接の会場を設定する際は、候補者体験の詳細について考えることが重要になります。基本的なロジスティクスから始め、また以下のことを必ず行うようにして下さい。

  1. オフィスへの行き方を分かりやすく示したEメールを早めに送る。
  2. 候補者が訪れた際に応対する人間を指名する。
  3. 候補者が予定より早く訪れた際に待機できる場所を用意する (例えそれが予備の机と椅子だけであったとしても)。

標準的な会社での面接におけるスケジュールは、一般的に次のような形になります。

  1. 手短な歓迎の言葉、および本日のスケジュールについて話す (5分間)
  2. 技術面接1 (1時間)
  3. 技術面接2 (1時間)
  4. 昼食 (1時間)
  5. 技術面接3 (1時間)
  6. 技術面接4 (1時間)
  7. 態度/文化に関する面接 (45分間)
  8. 候補者が会社について尋ねるための、終了時の質疑応答 (25分間)

あなたの会社がアーリーステージにある場合、終了時の質疑応答に少なくとも創業者が1人加わるようにすることをお勧めします。また、終了時にデモおよびロードマップのセクションを入れることも良いアイデアです。候補者に対し、あなたの会社が取り組んでいる新しい機能のスニークプレビューを行ったり、今後のプロジェクトの中でも最も面白いものについて語ることで、候補者はあなたの会社の今後の勢いに対して期待を持った状態で1日を終えることになります。

私達はTriplebyteを使っているエンジニアに対し、会社での面接で嫌な思いをした際、その原因は何だったのかを尋ねました。ほとんど全ての返答で、面接官とのやり取りが主だった内容となっていました。面接官に関する不満点のうち、上位3つは次のようになります。(1) 準備ができておらず、候補者について何も知らなかった。(2) 候補者が尋ねた技術的な質問について詳しくなかった。(3) 自分の知性を面接を受けに来た者たちに示すことに固執していた。

エンジニアの面接官とのやり取りが悪いものだったのであれば、彼らがあなたのオファーを受けてくれる可能性は低いでしょう。面接での体験を良いものにすることの重要性を、会社の文化の一部にする方法をご紹介します。まず、あなたのチームのために簡単な面接ガイドを書きましょう。面接ガイドでは面接の際に時間通りに行動すること、準備を整えておくこと、そして親しみやすい態度を取ることの重要性を強調しておきます。また、エンジニアの中でも最も態度が親しみやすく、優秀な者たちを選び、会社を代表する面接官として彼らのみを選ぶという手もあります。

質問について熟知しておくために、一元化された質問集を用意しましょう。面接官たちは候補者に対してそれらの質問を投げかける前に、一緒になってそれらの質問に取り組んでおくのです。技術面接で使えるコンテンツや質問についてもっとアイデアが欲しい場合、私の共同創業者である Ammon による、エンジニアを面接する方法について詳しく書かれた記事があります。

また、昼食の時間を候補者がチームについて知れる機会にするために何か行うのも良い事です。Triplebyteでは候補者の面接を行う日の朝にSlackで通知を行い、同時に昼食の席に参加しないかと皆に声をかけます。私達のオフィス・マネージャーは候補者をチームに対して紹介し、そうしたら私達はアイスブレイクを行います。候補者は質問を行い、私達は全員で順番にそれに答えていくのです (チームには事前に質問されることについて考えておき、気楽に取り組めるようにすること、と伝えます)。これは候補者がチームについて知るためのとても良い方法であり、大抵の場合とても楽しいものです。複数の候補者が、この体験が会社に加わるための決め手になったと話してくれています。

オファーを作成する

会社での面接が成功したら、次は正式なオファーを作成します。オファーを受けてもらえるようにするための取り組みの本当の始まりです。最初のステップは、オファーの詳細を確実に提示できるようにすることです。Triplebyteの候補者から聞かれる不満点の1つに、オファーの詳細が分かる前からオファーを受ける可能性がどれぐらいあるかを聞かれる、というのがあります。現実として、報酬の詳細は人々がどこで働くかを決めるための重要な要素となっています。そのため報酬に関するデータを提示しない限り、彼らにあなたの下で働きたいかどうかを判断してもらうことはできません。

以下の情報を盛り込んだ、正式なオファーレターのテンプレートを作成しましょう。

  • 給与と諸給付
  • (該当する場合) 契約金の詳細
  • 健康保険の詳細 (保険証券類へのリンクを含む)
  • もしある場合、401(k)の詳細
  • 休暇ポリシーの詳細

エクイティ

  • 提供される株式/ストック・オプションの総数
  • 発行済株式の総数
  • 株式保有割合
  • オプションの権利行使価格
  • ベスティング・スケジュールの詳細

オファーを提示する際は、以下に示す順番で物事を進めることをお勧めします。

ステップ1: 候補者に電話をし、彼らにオファーが提示されることを伝える

会社での面接の後になるべく早く、採用マネージャー (あなたの会社がアーリーステージにある場合は創業者) に候補者へ電話をさせましょう。可能であれば同日に行いましょう。候補者に対し、面接は非常にうまくいったこと、あなたがその候補者に対し、是非チームへと迎え入れるためのオファーを提示したい考えていることを伝えましょう。あなたがその候補者を迎え入れることを楽しみにしている詳細な理由について触れ、候補者が面接の日に行ったことで何が良かったかについて言及しましょう。複数の人間で電話を行い、各人にその候補者と一緒に働くのを楽しみにしている理由について述べるよう頼む、というやり方でも良いでしょう。候補者に対し、次のステップではあなた (もしくはリクルーター) が候補者に対し再び電話をかけ、オファーの詳細について説明することになると伝えましょう。

ステップ2: 電話でオファーの詳細について伝える

翌日に候補者に対し電話をかけ、オファーの詳細について伝えましょう。給与と諸給付について説明するのはかなり簡単です。エクイティについては、詳細について説明する前に、候補者がストック・オプションやRSUといったエクイティに関する概念について詳しいかどうかを尋ねて下さい。

  • もし候補者が詳しくなかった場合、電話で情報を伝えることで候補者を参らせることがないようにして下さい。彼らにエクイティの仕組みについて手短に説明してあげて下さい。あなたからのオファーにおける数字について説明し、あとでエクイティに関する資料を送るので、暇な時間に読むよう伝えて下さい。
  • もし候補者がエクイティに詳しい場合、すぐに数字の説明に入って下さい。そして詳細についてもっと説明して欲しい疑問点があるかどうかを尋ねて下さい。

候補者に対し、あなたがこの後すぐにEメールで、これら全ての詳細について記載された、正式なオファーレターを送ることを伝えて下さい。候補者が説明について理解しきるために、幾らかの時間が必要となるでしょう。次のステップは彼らの考えについて話してもらうためのフォローアップの電話となります。そのような電話をする際は、相手に幾らかの時間を与えるようにしましょう。

このような電話をする際は、つい相手に決断を迫ってしまうものです。候補者がプレッシャーを感じることを避けるため、そのようなことはしないことをお勧めします。そうした事をしてしまえば、彼らが意思決定のプロセスを進む中で、あなたが彼らと関わりを持ち続けることが難しくなってしまいます。彼らに何か初期の感想または疑問があるかどうかを尋ね、もし彼らが詳しく語りたくないようであれば次の話題に移る、といったような事をするのは問題ありません。また以前に話し合っていないのであれば、彼らの意思決定の予定について尋ねることも問題ありません。

文化

オファーの提示も終わり、今度は契約の締結へと目を向ける時間です。候補者と契約を結ぶための効果的な方法は、加わってもらうための根拠のうち、最も興味をそそるものを全力で候補者に売り込むことです。これは当たり前のことのように聞こえるでしょうが、もし候補者が即座に興味を示さなかったり、あるいはあなたの事業に関して詮索するような質問をしてきた時は、売り込みをやめるという誘惑に誘われてしまうものです。現実には、あなたは候補者よりも、あなたの会社で働くことを面白いことだと考えてしまうものなのです。なぜならあなたにはそのように面白いと思うだけの時間とデータがあるからです。あなたは売り込みを止めるという誘惑を全て打ち払い、あなたが感じている面白さを伝えなければならないのです。

この段階になると候補者が、あなたの会社の文化に関する疑問について、より深く探りを入れてくることがよく見られます。彼らは自分たちがあなたの会社で毎日働くということが、どのような感じになるかについて想像しようとしているのです。私達がTriplebyteで見てきた所によると、ほとんどの会社は自社の文化についてとても一般的な説明をしています。これは候補者の感情を損なわないためには最適なやり方ですが、あなたの会社を目立たせることができません。あなたの会社の文化を差別化に使うためには、幾らかのリスクを負う必要があります。あなたの会社の文化を、トレードオフの関係性を使って説明してみるのも良いでしょう。例えば、単にあなたの会社が「協調的だ」と言うのではなく、あなたの会社は協調的であることの利点 (より優れたアイデアや運営) を得ることと引き換えに、不利益な点 (何かをすることに対する個人の自主性が減る) も得ている、と説明してみるといったような感じです。

選ぶ内容によって、あなたの会社の文化が他とは異なると説明することが裏目に出たり、または適切な候補者を雇うためのアドバンテージになったりするでしょう。あなたがどちらのアプローチを取るにせよ、この話題について候補者と話す際に詳細について語れるよう、あなたとあなたのチームは確実に準備をしておくようにして下さい。文化について話す際に準備が出来ていないと気取られるようでは、その事自体が会社がどれだけ自社のチームのことを気にかけ、評価しているかという事に関するネガティブなシグナルとなります。

契約の締結

契約の締結のためのプロセスには、必ずあなたのチームが参加するようにして下さい。会社での面接の際に候補者と会った全ての人間に対し、候補者にフォローアップのためのEメールを送り、またそのEメールには彼らが面接を楽しむことができた具体的な理由や、自分たちとまた話すための機会を提供したいということを書くよう頼んで下さい。もしあなたの会社が小規模であれば、これを文字通り全社をあげて行うようにしても良いです。あなたの会社に複数のチームがあり、既に候補者が今後どのチームで働くかが分かっている場合、必ずそのチームに接触させるようにして下さい。彼らには最初の2週間はどのような感じになるか、誰が手はずを整えることを手伝ってくれるかについて話すことを推奨して下さい。核心についての詳細があると、オファーがよりリアルに感じられるものです。そういった事が候補者にとって決め手になったことを、私達は目にしてきました。

あなたの会社がアーリーステージにあるのであれば、全てのエンジニア向けのオファーに投資家を関与させるようにして下さい。あなたの会社が成長し、人を雇うペースが早まるのに従い、関与させる人間を選ぶようにして下さい。候補者を効果的に売り込むことができる可能性が最も高いとあなたが考える投資家を選び、またあなたがなぜそう考えたかに関する事情を候補者に対し、紹介のためのEメールで説明してあげて下さい。最新の事情に通じておらず、あなたの会社の詳細について詳しくない投資家は選ばないで下さい。

また、候補者との契約を締結する以上のことも考えてみて下さい。候補者の個人的な都合や、関与している他の意思決定者について考えてみるのです。Triplebyteで私達と共に働いている最も優秀なリクルーターは、こういったことに関して常にノートを取っており、行動するためにそれらを参照しています。私が見たある素晴らしいリクルーターは、候補者の妻が引っ越しをすることに躊躇していることを事前に知りました。彼女は引っ越しが自分の医者としての経歴に悪い影響を与えるのではないかと心配していたのです。そのリクルーターは彼女が働くできる場所を探すために時間を費やし、連絡先の情報を集め、候補者に妻とそのような情報を共有するために話すよう頼んだのです。候補者はそのすぐ後、オファーを受けました。

契約の締結のためのプロセスにおいて最も問題になるのは、あなたが最後に候補者とコミュニケーションを取ってからの期間です。あなたは威圧的にならないように積極的なフォローアップを行うよう、バランスを取らなければなりません。「もう決断できましたか?」と尋ねることなく彼らと接触するための理由を見つけることは、例えお互いが本当の意図に気づいているとしても、良い考えであると言えます。例えば、会社での面接で候補者について知った事に基づき、彼らが興味を持ちそうな最近のニュースへのリンクを送るといったことができます。 もしチームでの行事をやっているのなら、それに参加するよう招待しましょう。目標は候補者が意思決定を行っている最中になるべくあなたの事を考えるようにし、けれども彼らを抑圧しないようにすることです。

破格のオファー

契約締結のために会社が使う戦術の1つに、強引な締切を設けるというやり方があります。例えば「私達は最終判断を1週間以内に必要としている」と伝えたりするようなことです。私はこうしたことは行わないことをお勧めします。なぜなら複数の選択肢を持つ優秀な候補者から抵抗されるからです。また、競合他社のために働く経験豊かなリクルーターが、こうしたことをあなたに対する攻撃材料として使ってくる場合があります。 もし候補者がそうしたリクルーターに締切について伝えた場合、彼らは「ふむ、もしその会社が決断を急ぐことができる人間だけを雇いたがっているようなら、私はそんな会社が作り上げようとしている文化に対して疑問を持つね」という風に返答するかもしれません。私達は全ての人間が、自分たちは最善の場所に居るのだと長期に亘って確信していて欲しいですし、誰かに決断を急ぐよう圧力をかけて欲しくはありません。

よりソフトなやり方である、期限付きの契約報酬というものを試してみても良いかもしれません。私達はこのやり方が効果を発揮してきたのを見てきましたし、私達自身もTriplebyteでこのやり方を使って成功しました。このやり方を提示する場合、私なら次のようにします。「私達はあなたがあなた自身 (そしてあなたの家族) のための正しい決断を行えるよう、必要なだけの時間を使って欲しいと考えています。一方でスタートアップにおける状況が急速に変化する可能性がある以上、私達はオファーをいつまでもそのままにしておくことができません。もしあなたがX日までに最終決断を下せるようであれば、私達はあなたにX,000ドルを契約報酬として提供することができます。」

大企業との競争、ベイエリアへの引っ越し

大企業 (特にFacebookやGoogle) との競争。そして、候補者がベイエリアへの引っ越しを考えている場合。これら2つの状況はよく目にされるものであり、契約締結に際して独特な問題を引き起こします。これら両方に対処するためのアドバイスをこれからご紹介します。

スタートアップがFacebookやGoogleの待遇と競い合うことは、特に年長のエンジニアを相手にする場合は難しいことです。あなたの会社もまた公開会社でない限り、総報酬では競い合うことはできません。しかしそれでもなお、あなたは勝つことができます。Triplebyteにて、私達はスタートアップがそうした大企業にうまく立ち向かう姿を見てきました。私達が確認した、最もうまく競い合うことのできる点を以下でご紹介します。

  1. 学習: 人間が最も早く学ぶのは、重大な意思決定の責任を与えられる時です。大企業ではこうした責任が与えられるまで何年も待たねばならず、また1人の人間 (特に新しく雇われた者) が大きすぎる被害を出すことがないよう、抑制と均衡を整備することを必要としています。急成長中のスタートアップにおいては、そのようなことをする余裕はありません。会社の今後を大いに左右する意思決定をすぐに任されることになるのです。
  2. キャリアアップ: シリコンバレーとテック産業は、会社の地位を他のどこよりも早く駆け上がっていけるという点で他に類を見ません (例、Facebook (時価総額5000億ドル) の最高製品責任者は36歳です)。こうしたことが起こるのは、任せる責任を次々に増やしてくる、急成長しているスタートアップに加わった時だけです。候補者に対し、こうしたことがどのようにして、あなたのスタートアップにいる人々に既に起きているということの例を提示し、候補者があなたの会社で今後数年間、どのようにキャリアアップを重ねていけるかということについて具体的なイメージを描き出してみましょう。
  3. 機会費用: どのような時点においても、テック関連の公開会社で働くという安全な選択肢が常に存在しています。そのような会社は色々とあるでしょうが、そうした会社で働く経験は代替可能なものです。スタートアップで働く経験は大変変化に富んだものとなる可能性があり、あなたはチームと市場のおかげで、自分のスタートアップはユニークな機会を提供しているとすぐに紹介するべきです。もし候補者達にとってあなたの会社で働くことが合わなかったとしても、彼らは常に大企業での経験へと戻っていけるのですから。
  4. メンターシップ: エンジニア、特に若いエンジニアが小規模なスタートアップで働くことに対して抱いている可能性がある懸念の1つに、ベストプラクティスや物事を行うための「正しい」方法を学べないのではないか、というものがあります。もしあなたの会社のチームに、メンターシップの提供を喜んで引き受けてくれる経験豊かなエンジニアがいれば、とても大きな助けとなります。もし居るのであれば、必ず候補者にそのことを伝えるようにして下さい。

ベイエリアに引っ越す必要がある候補者は、生活費について不安を抱いているかもしれません。ベイエリアでの生活費の金額は増えてきており、またメディアでそれについて取り上げられる頻度も増加しています。このことは究極的には候補者の個人的な判断に任されるものですが、例えエンジニアでさえも実際の生活費用がどのぐらいになるかを確認するための試算を行うために、分析的なアプローチを使っていないことに私は驚かされ続けてきました。この点について、あなたは積極的に行動しても良いでしょう。もし候補者がベイエリアに住むだけの費用を賄えないと話したとしても、彼らが試算を行ったと勝手に決めてかからないで下さい。もしあなたが本当にその候補者に加わって欲しいと思うのであれば、彼らがその事についてしっかりと考えるのを手助けするために時間を費やして下さい。生活費の推定が記載されたスプレッドシートのテンプレートを作り、彼らと共にそれに取り組むことで本当の月収がどのようなものになるかを算出しても良いでしょう。私達はまた、あなたが候補者と共有するために使うことができる、良い点や悪い点の両方の詳細について説明したブログ記事も書いています。

フィードバックと反復

どんな会社もオファーを受けてもらえる確率を100%にすることはできません。あなたは必然的に、物凄く欲しい候補者との契約を締結することにいずれ失敗することになります。最悪なことに、採用においてそれは避けられないことです。断られてしまったオファーは全て、あなたの採用プロセスと売り込みを改善するためのデータを集めるための機会として活用しましょう。応募を止めてしまう候補者それぞれに対して手短に面接を行い、どうしてそのような判断を行ったかについてのフィードバックを得るための質問や、あなたの会社の採用プロセス全体の質についてのフィードバックを得るための質問を行いましょう。これらのフィードバックをあなたのチームと共に定期的に見返し、時間をかけてあなたの会社の面接と契約締結のプロセスを反復、改善するために活用しましょう。

こうしたプロセスの最適化に対し、製品を最適化する時のように取り組めば、コンバージョンの改善や、採用においてより多くの成功を目にすることとなるでしょう。グッドラック!

 

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著者紹介

Harj Taggar

Harj Taggar は Triplebyte (YC S15) の共同創業者兼 CEO です。Triplebyte は、最高のエンジニアが世界で最も早く成長する企業で働く機会を、最小の時間と努力で見つける手助けをする会社です。Triplebyte を創業する以前、Harj は YC のパートナーでした。

記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文:  Convincing Engineers to Join Your Team (2018)

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