エンゲージメントはスティッキネスを駆動し、スティッキネスはリテンションを駆動し、リテンションは成長を駆動する (Sequoia Capital)

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朝、目が覚めてコーヒーを注いでるところを想像してみてください。そして、スマートフォンからInstagramの通知音が鳴ります。あなたの親友、エミリーがスイスのアルプス山脈から美しい動画を共有しています。背景の氷河に映える青々と生い茂る草木は息を呑むほどの絶景で、思わず笑顔がこぼれます。あなたはその動画にコメントし、コーヒーを飲み干すまでの数分間、エミリーとのおしゃべりを楽しみます。Instagramはこの時点ですでに、あなたの一日に価値を付加しているのです!

あなたがInstagramでストーリーを視聴している場合も、 Mediumに記事を投稿している場合も、あるいは Facebookのプロフィール写真にコメントを付けている場合でも、企業はあなたがその製品をとても気に入り、その中に価値を見い出すことを望んでいます。ある製品があなたにとっての価値を本当に付加するのであれば、あなたはその製品により深くエンゲージメントしていきます。それがあなたを幸せにしていれば、あなたはもっと頻繁にアクセスしてアクティブユーザーになります。言い換えると、エンゲージメントがスティッキネスを駆動し、スティッキネスがリテンションを駆動します。そして今度はそれが成長を駆動するのです (図1を参照)。

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成長、リテンション、スティッキネスを理解する

あなたの製品がその潜在能力を全て引き出して大部分のユーザーに最大の価値を生み出すためには、その製品が成長しなければなりません。成長は市場全体という状況の中で、また有効市場と関連するユーザー数に照らして、さらには新規ユーザー獲得とチャーンと復帰 (resurrection) のバランスという観点から理解しなければなりません。

理想的には、製品が成長する間に獲得する新規ユーザーはその製品に対して永遠にエンゲージメントし続けるはずです。それこそがリテンションです。リテンションはその製品を使ってみて、リピートするほど好きになった人々を測る評価基準です。多くの消費者向け企業は、登録後の任意の期間内にログインやメッセージ送信などの任意の行動をとるユーザーのパーセンテージによってリテンションを定義します。サブスクリプション型およびSaaS型の企業は、そのユーザーが最初にお金を使ったあと、任意の期間内に使った金額によってリテンションを定義する傾向にあります。

一般的にはスティッキネスがリテンションを駆動するものの、リテンションと成長がうまくいっている製品には必ずしもスティッキネスがあるわけではないかもしれません。リテンションとは単純にその製品をリピートしているユーザーについてのことです。そしてスティッキネスとはユーザーの自分の意志によるリピートについての話です。スティッキネスはプッシュ通知のような戦術への依存度を減らすのに役立ちます。例えば、Facebookにスティッキネスがある理由とはユーザーによる共有したいという衝動、そして他の人の生活に対する好奇心です。

エンゲージメントがスティッキネスを駆動する

全ての日間アクティブユーザー (DAU) が一様ということはありません。アリス、ボブ、サラという3人のFacebookユーザーについて考えてみましょう。この3人は全員、同じ日にFacebookへと参加し、現在もそのプラットフォームを使っています。アリスはFacebookが大好きで、大きな価値を見い出しています。彼女は深くエンゲージしており、「いいね!」、コメント、記事の投稿をよく行っています。彼女は1時間ごとにFacebookをチェックし、このプラットフォームに1日につき最大2時間を費やしています。彼女は通知を待たず、むしろ自らの意志でチェックしています。

ボブはそれほどエンゲージされていません。彼のFacebook上での友人はアリスよりも少なく、チェックは1週間に数回だけです。1回につき数分間、フィードをスクロールしています。ボブは主にコメントではなく「いいね!」をすることで投稿記事とやりとりしており、新しいコンテンツの投稿はめったにしません。

サラはFacebook上での友人、セッション、消費時間がアリスやボブよりも少なくなっています。彼女のアクセスは1週間に1回だけで、このプラットフォームから大した価値を得ていません。

アリス、ボブ、サラは全員、日間アクティブユーザーであるため、一見したところではこの3人は同じに見えるかもしれません。ですが、エンゲージメントのレベルをよく調べてみると、その違いが明らかになります。この製品は明らかにボブにとってはアリスほどスティッキネスがありません。そしてサラにとってはもっとスティッキネスがありません。指標の観点から見ると、サラは1週間ごとのアクセス日数である「Lness」が最も低く(7/7)、続いてボブ (5/7)、そしてアリス (7/7) となっています。同様に、エンゲージメントの評価基準であるセッション数もスティッキネスを初期に予測する判断材料としての役目を果たす可能性があります。すなわち、エンゲージメントがスティッキネスを駆動するということです。

エンゲージメントがスティッキネスを駆動し、それがリテンションを駆動する

先述のとおり、スティッキネスのある製品はユーザーのリピートを維持します。例として、アリス、ボブ、サラと同じ日にFacebookに参加したユーザーのコホートを考えてみましょう。ある期間にわたって、彼らの多くはアリスと同じような行動をとり、その製品に大きな価値を見い出して自らの意志で毎日リピートします。これらのユーザーは高いレベルでリテンションしています。

アリスのグループとちょうど同じく、ボブと彼に似たユーザーたちもD1 (アプリをインストールした次の日) にはリテンションしていました。ところが、このようなユーザーが製品にあまり価値を見い出さないようになり、最初にFacebookを使うきっかけとなった「魔法の瞬間」にエンゲージすることが少なくなるにつれて、アクセスする回数も減っていきます。7日目 (D7) には全くアクセスしなくなる人もいます。同じく、サラのような大半のユーザーもD7にはアクセスしないはずです。

したがって、アリス、ボブ、サラのようなユーザー同士にけるスティッキネスの違いはリテンションとして現れます。その製品にエンゲージするユーザーが増えれば増えるほど、彼らにとってのスティッキネスも増えるうえ、彼らがリテンションする可能性も高くなります。

エンゲージメントがスティッキネスを駆動し、それがリテンションを駆動し、それが成長を駆動する

アリス、ボブ、サラはそのFacebookの使い方が大幅に異なるにもかかわらず全員がWAUなので、単にWAUだけを調べるだけではそのようなユーザー間にある微妙な行動の違いを検知できないでしょう。例えば、もしもボブのようなユーザーがその製品に退屈し、週に5日ではなく3日アクセスするようになると、たとえWAUは (また、月間アクティブユーザー数、すなわちMAUも) 変わらないとしても、DAU、スティッキネス、リテンションは全て減少します。最終的に、そのようなユーザーは2週間ごとに2、3回しかアクセスしないかもしれません。そのときになってようやく、変化がWAUの指標で検知可能となるでしょう。

ボブのようなユーザーのリテンションを見逃すうち、彼らはWAUではなくなり、次にMAUでもなくなったあと、最終的には製品から完全に離脱してしまうかもしれません。一般的に、このような変化は突然起こりはしません。DAUの減少はWAUの減少を示す初期指標で、WAUの減少自体はMAUの減少を示す初期指標です。

アリスとボブとサラは初めにはDAUのレベルでは同じように見えるかもしれませんが、その結末はエンゲージメント、スティッキネス、リテンションによって劇的に異なります。リテンションは突き詰めていくとそのプラットフォームにおける成長と結末にまで及びます。

要点のまとめ

この構造における根本的な真実とは、「あるユーザーがあなたの製品に価値を見い出せば、その人はリピートするだろう」ということです。ですが、自分の関わる具体的な垂直業界を考慮に入れることも大切です。例えば、マルチプレイ・オンラインゲームの価値は同時利用者の数に依存するところが大きくなります。このため、同時利用者の減少がDAU、WAUなどの減少を示す初期指標となります。

SlackやHipChatのような企業向けコミュニケーション・ツールにとっては、メッセージがその製品の中心的価値です。したがって、送信されるメッセージの減少がユーザーの減少を引き起こし、最終的には離脱と月間経常収益の低下という結果を招きます。

製品の中心的価値が何であるにせよ、成長のための最大の手段はユーザーがその価値を認識する魔法の瞬間を生み出すことです。そのような瞬間がなければ、リテンションは難航し、成長を維持するのも難しくなります。二流の企業はただ成長にだけ注目します。偉大な企業が注目するのは持続可能な成長です。そしてそれはエンゲージエメント、スティッキネス、リテンションによって実現します。

 

この記事は、Sequoia CapitalのData Scienceチームによるものです。Jamie Cuffe、Avanika Narayan、Chandra Narayanan、Hem Wadhar、Jenny Wangが執筆協力しています。質問、コメント、その他のフィードバックにつきましては、data-science@sequoiacap.comまでメールでお送りください。

 

著者紹介 

Sequoia Capital (Medium)

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記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文: Engagement Drives Stickiness Drives Retention Drives Growth (2018) 

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