エンゲージメント Part 2: コンテンツの生産 (Sequoia Capital)

このシリーズの最初の投稿では、エンゲージメントが大切な理由と、ニュースフィードの文脈において生産-消費システムが機能する仕組みを説明しました。この投稿では、コンテンツ生産を理解し、追跡し、その数を増やす方法について説明します。

コンテンツの生産は、エンゲージメントに影響を与える唯一最大の要素です。もしコンテンツが生み出されなければ、ユーザーが消費するものも、フィードバックを送るものも存在しなくなってしまいます。ユーザーの訪問も1日に数回から、日に1回、週に1回、月に1回という風に減少し、最終的にあなたのの製品は死を迎えるでしょう(図1参照)。

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コンテンツ生産は3つの局面に分けることができます。作成 (creation)、捕捉 (capture)、共有 (sharing) です(図2参照)。作成は世界中で絶えず行われています。2人の人物の間の単純な会話も、コンテンツ作成と考えることができます。もちろん今日においても、そのようなコンテンツの大部分は捕捉されません。しかし、カメラ付き携帯電話の登場以来、捕捉されるコンテンツ(特に視覚的コンテンツ)の量は劇的に増加しました。

InstagramやSnapchatなど多くのソーシャル製品が、テキスト以上に視覚的コンテンツの捕捉に、より一層の力を入れています。

コンテンツが捕捉されたとしても、それが必ずしも共有されるとは限りません。多くの製品がカメラ重視の戦略を採用することで、共有を促しています。

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コンテンツ作成と捕捉

コンテンツ作成と捕捉は、多次元的に理解することができます。作成者(UGC、専門家、等)、種類(ソーシャル、娯楽、情報、等)、頻度(日に何度、週に何度、等)、メディア(VR、360度動画、テキスト、等)などです。

コンテンツ作成者

ソーシャルアプリが提供するニュースフィードのコンテンツ作成者には、4種類の基本カテゴリーがあります。友だち、ページ、グループ、ニュースです。友だちにより生成されるコンテンツは本来個人的なものがほとんどですが、もともとは他の人が生成したコンテンツのリンクや再共有を含んでいる場合もあります。ページによって生成されるコンテンツは、企業、セレブ、またはペットのプロフィールがその出処かもしれません。グループは大抵の場合、サッカーチームや専門家組織のメンバーなど、共通の興味を反映しています。ニュースは通常、New York Times などの報道機関が情報源となっています。それぞれのカテゴリーにおいて、ユーザーが購読してさえいれば、作成者はそのコンテンツをユーザーのニュースフィードに表示することができます。


今日のソーシャルネットワークは、徐々にユーザー生成コンテンツ(UGC)を主役に置く傾向を強めています。そしてそのようなコンテンツの置かれた状況は、技術の進歩により根本的に変わろうとしています。スマートフォンの高性能化と低価格化、新たなソーシャルアプリの登場、バーチャルリアリティ(VR)や拡張現実(AR)の発展などが、その原因です。特に、動画や写真の品質向上は、コンテンツ生産を民主化し、UGCの爆発的増加を引き起こしました。そして視覚的コンテンツの作成がより簡単で楽しいものになるに連れ、共有行為はテキストを離れ、写真や動画(360度動画、その他)へと向かう傾向にあります。UGCは信憑性があり個人的なものであるため、比較的高いレベルのエンゲージメントを生む傾向もあります。人々は本質的に社会的存在であり、友だちや家族が何をしているのか知りたいと思うのです。

コンテンツ共有

貴社製品のエンゲージメントを高めるために、コンテンツは作成・捕捉されるだけではなく、共有されなければなりません。ユーザーに対し上手くシェアを促すのは難しい場合があります。特に、貴社が他の多くの製品と市場シェアを競っている場合はなおさらです。ソーシャル製品の成功は、最終的にはユーザーが共有するコンテンツの量にかかっています。コンテンツ生産が時間と共に低下したことが原因で失敗した製品は、数多くあります。

コンテンツの作成・捕捉と同様に、コンテンツ共有は多次元的に理解することができます。オーディエンス、コンテンツの社会的受容性、フィードバック、認知、コンテンツの種類、フォーマットの種類、製品のシンプルさ、コンテンツの永続性などです。それらの側面の一つ一つを以下で詳しく検討します。

オーディエンス

私たちは誰もが不安を持つ社会的存在です。また、プライバシーを大切にし、一般的に自分の生活については何であれ、世間に広く知られることに前向きではありません。その結果、私たちが自ら投稿しようと思う内容は、投稿を見ることができる人の数によって決定付けられます。もちろん、投稿を見ることができる人たちとの関係の近さも、投稿内容に影響を与えます。

従って製品の視点から見た場合、ユーザーのオーディエンスの規模は、コンテンツ共有と重要な関係があります。製品のユーザーが増えるに連れ、通常は各ユーザーの友だちや購読者の数も同様に増加します。従って製品の初期段階においては、より多くのフォロワーたちとコンテンツを共有しようとするユーザーがいるものの、オーディエンスが増えると、共有を完全に止めてしまう可能性さえあります。そのようなユーザーは、おそらく1対1のメッセージ、またはグループメッセージサービスのような、代わりの製品を利用するようになるかもしれません。しかし、オーディエンスの増加が他のユーザー(セレブなど)にやる気を与え、さらなる共有を促す可能性があります。

コンテンツの種類と質

同じように、ユーザーが共有しようと思うコンテンツの種類も、オーディエンスの数に左右される可能性があります。大抵の場合、ユーザーはオーディエンスが増えるに連れ、ニュース記事や面白い動画といったコンテンツについては進んで再共有し続けますが、家族の写真など個人的要素の強いコンテンツの投稿は止めてしまう可能性があります(図3参照)。結婚や子供の誕生など、大きなライフイベントについては最新情報を投稿するかもしれませんが、「日常」の瞬間を共有しようという意思は遥かに弱くなります。

また、ユーザーは通常、オーディエンスの数が多いほど、質の低いコンテンツを共有したがりません。

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模倣

人間はしばしば、意識的にも無意識にも、他人の真似をします。模倣は社会的な有益性を持っており、人々やグループ間の絆を築く役に立ちます。他の人を模倣する行為には、それによって認知(他人が特定の行動に携わるのを見ること)を自身の行為と直接結びつけようとする無意識のプロセスから、最善策が不明確であったり、調子を合わせたいという理由で真似することを選ぶ意識的な戦略まで、多様な種類があり得ます。

私たちはレストランで、ちょうど目に入った他人の食べている料理を注文する場合があります。その時、模倣プロセスなど意識していません。あるいは、ウェイターに一番人気のあるメニューを聞くことで、意識的に他人を真似ることもあります。このことはソーシャルメディアにおいて重要な現象です。それは人気のハッシュタグの使用、人気のある場所の写真のアップロード、人気アーチストのページとのリンク、人気ニュース記事の共有などに明確に現れています。また模倣は、様々な種類のメディアを人々が捕捉したり共有したりするのを促進します。ニュースフィードでより多くの動画を見かけた人は、その動画の共有が社会的に受け入れられるものだと感じ、より共有しやすくなります。従って製品の視点から見た場合、強力な模倣行為を生み出すことで、より多くのコンテンツ生産に繋がる可能性が高くなります。

あなたの製品の公言された意図、および世間で認識されている意図の両方が、その製品の人々による利用および用途に強い影響を与えます。例えば、Yik YakとLinkedInそれぞれの成功を考えてみましょう。Yik Yakは半径5マイル以内にいる人々を対象とした、匿名のゴシップ製品です。それに対しLinkedInは、基本的に専門知識を持つ人たちがネットワークを作るのに利用されています。模倣はしばしば、新製品やある行為の社会的な受容を促進します。製品によって規定される規範も、同じように模倣により社会に受容されるのです。

認知

Facebookのように在庫量が豊富なニュースフィード環境でユーザーが消費できるコンテンツは、そのほんの僅かな一部分でしかありません。そのようなニュースフィードの最上部に掲載される投稿は、通常はその製品のアルゴリズムによって高いランク付けがなされています。そのような投稿は「いいね!」やコメントの数が比較的多く、おそらく品質も高いはずです。このことがしばしば、ユーザーの誤解を生みます。ほとんどの投稿が自分の投稿より、エンゲージメントも質も高いと信じてしまうのです。そしてこれが、ユーザーの行動にさまざまな変化を引き起こす場合があります。投稿の質を高める代わりに、共有する数を減らしてしまうユーザーがいるかもしれません。あるいは完全に共有をしなくなることすらあり得ます。自分の投稿のエンゲージメントが他の人よりも低いという、根拠のない不安を抱くためです。

非永続性

公開された数秒後に自己消滅するコンテンツが、若いユーザー層の支持を集めてきました。このフォーマット(Snapchatにより普及しました)は、ほとんどあらゆる感想、お祝い、日常の瞬間が捕捉され、共有、記録、いいね!、コメント、保存、検索、販売される世界への対抗手段です。見栄えの悪い写真や、バツの悪い近況を思い出して悩まされることを心配したくない人たちにとって、このフォーマットには間違いなく魅力があります。偶然起こってしまった恥ずかしい瞬間も、それが永遠には残らないとユーザーが分かっていれば、共有される可能性がずっと高くなるはずです。

さらに、若いユーザーたちは、ウェブを通して共有されたコンテンツの永続性と、後の人生に与えるその影響について、強く自覚するようになっています。それ故に、Snapchatのようなプラットフォームにおけるソーシャルな投稿(およびフォーマットとしてのストーリー)の非永続性も、共有されるコンテンツの種類や質に強い影響を与える可能性があります。

追跡すべき重要指標

  • ユーザー1人あたりの投稿頻度  —  投稿の頻度が高いほど、在庫量が増加し、つながりを生む可能性が高くなります。
  • 投稿するユニークユーザー数  —  投稿を行う人の割合が多いほど、人々が製品を訪れる可能性が高まります。
  • 共有されるコンテンツの種類  —  独自性と信憑性のあるコンテンツの種類が多いほど、つながりを生む可能性が高くなります。人々がより頻繁にコンテンツを消費するために、製品に戻って来ます。
  • 共有されるコンテンツの質  —  ユーザー目線でのコンテンツの質と、その質が時間と共にどのように変化したかを理解することが、適切な種類の製品を作るのに役立ちます。
  • コンテンツ生産のウォーターフォール分析。例えば、コンテンツは作成されるが共有されない場合など。人々は投稿を書くけれども、その質、認知、オーディエンスなどいくつもの理由で共有しない可能性があります。

まとめ

  • コンテンツ生産は、エンゲージメントに影響を与える唯一最大の要素です。もしコンテンツが生み出されなければ、ユーザーが消費するものも、フィードバックを送るものも存在しなくなってしまいます
  • コンテンツ共有は、オーディエンス、コンテンツの社会的受容性、フィードバック、認知、コンテンツの種類、フォーマットの種類、製品のシンプルさ、コンテンツの永続性に強く影響されます。

 

この記事は、Sequoia CapitalのData Scienceチームによるものです。Jamie Cuffe、Avanika Narayan、Chandra Narayanan、Hem Wadhar、Jenny Wangが執筆協力しています。質問、コメント、その他のフィードバックにつきましては、data-science@sequoiacap.comまでメールでお送りください。

 

著者紹介 

Sequoia Capital (Medium)

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記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文: Engagement Part II: Content Production (2018)

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