エンゲージメント Part 5: 消費 (Sequoia Capital)

 

f:id:bfore:20181022084425p:plain

本シリーズのこれまでの投稿では、 コンテンツ生産と共有つながりと在庫、そしてアクティビティフィード ランキングについて取り上げました。この投稿では、コンテンツ消費の検討と重要指標に注目します。

f:id:bfore:20181022084442p:plain

生産 対 消費

健全なアクティビティフィード環境では、ユーザーがコンテンツを作成し、そのコンテンツの潜在的な消費者は仲間のユーザーや、関心のあるページやグループと効率的につながります。また、利用可能な適度な在庫があれば、ランキングアルゴリズムが適切なコンテンツを適切なユーザーに対し、適切なタイミングで表示します。

しかしながら、それら全ての要素が揃っていても、ユーザーが実際にコンテンツを消費しないこともあります。ユーザーが利用するプラットフォーム(iOS、Android、デスクトップなど)に環境が最適化されていない場合や、必要な接続性を持っていない場合(WiFiやLTEではなく2Gなど)などです。快適なコンテンツ消費体験を提供できるまでは、大部分のユーザーはあなたの製品に心からエンゲージしないでしょう。

そのため、製品を構築する際には、コンテンツ消費に影響を与える以下の要素をよく考えて進めるべきです。

消費サーフェス

ユーザーがコンテンツを消費する空間(消費サーフェス)は、エンゲージメントにとって極めて重要です。うまくデザインされた消費サーフェスはナビゲートしやすく、ユーザーはさまざまな種類のコンテンツをシームレスに消費することができます。また、コンテンツのエリア(Snapchatにおけるブランドのコンテンツや友だちのコンテンツなど)の区分や、コンテンツの作成者も分かりやすく、ユーザーがとることのできるアクションの種類や、それらのアクションの実行方法も直感的に理解することができます。

アクティビティフィード、ストーリー、ブラウジング、レコメンデーション、およびページは、全て消費サーフェスの種類です。一般的にあなたのチームはそれらの各種類と、その最も良い対応事例を理解しておくべきですが、この一連の投稿ではアクティビティフィードに重点を置いています。アクティビティフィードは、タイムリーで、関連性があり、人気が高く、常に変化するようなコンテンツである動的アクティビティを表示するための、最も優れた方法です。またアクティビティフィード環境は、オーディエンス、社会的受容性、フィードバック、予測、コンテンツの種類、フォーマットの種類、製品のシンプルさ、性能など、消費に関連する課題ももたらします。それらの課題は、コンテンツの生産に関する以前の投稿でも詳細を議論しました。それらの検討事項の一例が、作成者がずっと目立たせておきたいと思う、結婚などの大きなライフイベントに関するコンテンツです。そのような投稿に対しては、人目を引く投稿も最終的には消え去ってしまうアクティビティフィードよりも、タイムラインやプロフィールの方がより適した消費サーフェスとなります。

低性能デバイスと低接続性

新興市場の成長が続く中で、低性能のAndroidフォンと、2Gのような比較的貧弱なネットワーク接続が、製品チームにとって新たな課題となりつつあります。それらの地域でもシームレスに動作する製品を設計するということは、低速度でも読み込みやスクロールができるアクティビティフィードの開発を意味します。それらの課題に対処する方法としては、より多くのテキストを目立たせて動画の割合を減らしたり、低解像度の画像を提供したり、ユーザーがWiFiに接続している間に動画をキャッシュ化し、後で帯域幅に関係なく再生できるようにしたりするなどの選択肢があります。

下記図1で示す通り、製品を作る際には、製造年式と接続性の両方から情報を得る必要があります。例えば、ストレージ容量が限られている古いデバイスに対しては、あなたの製品の「ライト」バージョンを開発することができます。また、最新のデバイスとWiFi環境を持っているユーザーには、高解像度(360度を含む)の動画や写真を表示し、2Gネットワークを通して古い電話機であなたの製品にアクセスしているユーザーには、主にテキストコンテンツを提供するように選択することもできます。

f:id:bfore:20181022084612p:plain

追跡すべき主要消費指標

注意:以下の指標は最高のユーザー体験を作るための最適化に有用ですが、このリストで全てが網羅されているわけではありません。インフラやエンゲージメントに関連する検討すべき消費指標は、他にもたくさんあります。

DAU当たりの利用時間

利用時間は、ソーシャル製品がエンゲージしているかどうかを示す、有力な指標です。ユーザーがあなたの製品を長い時間利用しているほど、彼らが良い体験をしている可能性が高いと言えます。しかしこの指標を検討する際は、製品が期待するエンゲージメントや使用例を考慮に入れる必要があります。Snapchatのような製品では、DAU(デイリーアクティブユーザー)当たりの利用時間はエンゲージメントを測るための良い指標ですが、例えばYelpでは、セッション数の方が指標としてより適切で、そちらを追跡すべきでしょう。

利用時間のマーケットシェア

ソーシャル製品にとってこの指標は、一般的に市場という観点での成功を測るための良い指標です。たとえあなたの製品を利用する絶対時間が増えているとしても、競合製品に対するマーケットシェアが下がっていれば、その方が問題である可能性が高いと言えます。

セッション数

この指標は全体的な利用時間を伸ばすための手段として利用できるため、エンゲージメントを測るには有力な指標と言えます。また、プロダクトマーケットフィットを最も早く表す指標でもあり、セッション数の低下は何か悪いことが起こっていることを示す早期警報の可能性があります。

セッション当たりの利用時間

セッション数と同様に、この指標も全体的な利用時間を伸ばすための手段として利用できます。また、あなたの製品では2つの指標のうちどちらが改善しやすいか把握することも有用です。

閲覧数

利用時間はしばしば、本質的に消費時間が長い動画のようなコンテンツに対して偏りが生じます。そのため、利用可能な在庫に関してユーザーが消費したコンテンツの数を知ることも有用です。また、ユーザーが「在庫に制約がある」(つまり、消費するのに十分な数の投稿を持たない)かどうかを把握するのにも役立ちます。

アプリ起動時間

ユーザーはアプリに対し、レスポンシブで読み込みが速いことを期待します。起動時間の長さは、ユーザーの製品離れを促す可能性があります。さらに深い洞察を得るために、コールドスタート(アプリが「ゼロから」起動する)やホットスタート(システムがアプリを最前面に持ってくるだけで、オブジェクトの初期化やレイアウトの展開・描写をやり直さない)に関する起動時間を追跡しましょう。起動時間指標は、低性能のデバイスを使うユーザーに対して特に重要です。

プルリフレッシュ時間

「プルリフレッシュ」とは、ユーザーが画面のコンテンツを更新するために、タッチスクリーンを下方へドラッグする動作のことです。プルリフレッシュ時間が長い場合、ユーザー体験に重要な悪影響を与える可能性があります。しかしこの問題にはいくつか原因が考えられるため、慎重な分析が必要なことにご注意ください。

バッファー時間

動画のストリーミング配信時に「読み込み中」や「バッファー中」のメッセージが表示され、中断と再開が繰り返されることには、誰もが苛立ちを感じたことがあります。この時間を最小化することが、優れたユーザー体験の提供にとても重要です。

APK(Android パッケージ キット)サイズ

特に新興市場では、不安定な2G・3Gネットワークや、通信従量制料金プランの方が一般的です。そのためユーザーはしばしば、比較的大きなサイズのアプリのダウンロードを避けます。

ストレージ

Androidの低価格帯モデルでは、電話機のストレージはたいてい限られています。それらのデバイスの場合、前述したように前もって情報をキャッシュ化しておく方法でも、ユーザー体験を改善できない場合があります。

追加的な検討事項

ナビゲーションの容易さ

ユーザーがアクティビティフィードへ遷移する、またはそこから遷移して行く際のナビゲーションについては、よく検討しましょう。ユーザーは外部リンクをクリックした後、あなたの製品に戻るのを忘れてしまったり、戻り方が分からなくなったりするかもしれません。

デバイスを越えた一貫性

あなたの製品を複数のデバイスで消費するユーザーも多いと思います。彼らに一貫した体験を提供することは、エンゲージメントの強化に役立ちます。例えば、Androidフォンには「戻る」ボタンが付いており、それを使ってアプリ内で前の画面に戻ることができます。しかしiOSには同じボタンがないため、前の画面に戻るための、iOSに一貫した方法を用意する必要があります。それが提供できなければ、別のプラットフォームに移動したユーザーが混乱する可能性があり、体験に一貫性のなさを感じるでしょう。

まとめ

  • 製品の成長に伴い、主力ユーザー以外の消費に対しても製品を最適化することが、長期的な成長に極めて重要です。
  • プラットフォームを越えた一貫した体験と、素晴らしい消費体験の構築に注力することが、製品の成功にとって重要です。

 

この記事は、Sequoia CapitalのData Scienceチームによるものです。Jamie Cuffe、Avanika Narayan、Chandra Narayanan、Hem Wadhar、Jenny Wangが執筆協力しています。質問、コメント、その他のフィードバックにつきましては、data-science@sequoiacap.comまでメールでお送りください。

 

著者紹介 

Sequoia Capital (Medium)

アイデアから IPO、そしてそれを超えて、Sequoia は大胆な創業者たちが、伝説的な起業を作ることを助けます。

記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文: Engagement Part IV: Activity Feed Ranking (2018)

BFORE (Biz FOR Engineers) はスタートアップに関するノウハウを届けるエンジニア向けのメディアです

運営元