プロジェクトと会社 (Sam Altman)

この記事の要約

  • できるだけ長い間、会社としてではなく、プロジェクトとして活動を続けるべき
  • 会社として認識してしまうと弁護士や会議などの「仕事っぽい」ことを心配して、作ることへの気遣いが少なくなる
  • プロジェクトであれば、バーンレートを低くしながら、クレイジーなアイデアに取り組むことができる

スタートアップの初期、みんながそれを「プロジェクト」と呼んだことには少し腹が立ちました。私たちにとって全てが深刻に感じられる時でさえ「プロジェクトの調子はどう?」と尋ねられるのは、彼らが私たちのことを真剣に考えていないことの表れのように見えました。500万ドルのシリーズAを発表した時、今後そんなことはなくなるだろうと思ったことを覚えています。 でもそうはならず、みんなが私たちのことを会社と呼び始めたときがきっと成功した時なんだ、という感覚をずっと持っていました。

私は今、それとは逆の信念を持っています。それは、できるだけ長い間、会社としてよりもプロジェクトとして人から見られること、そして自分自身もそう思うことの方がはるかに良いということです。

会社というと真剣なものに聞こえます。自分たちのことを会社と考え始めると、あなたは会社として行動し始めます。 弁護士、会議、財務といった見せかけの仕事ばかりを心配し、プロダクトを作ることへの気遣いは減るでしょう。なぜなら、それは会社を経営する人たちが行うべきことだからです。 これはもちろん、有望なアイデアを殺してしまう死との口づけです。

プロジェクトに対する期待は非常に低く、それが素晴らしいところでもあります。 また、プロジェクトでは大抵、それに関わる人もお金も少なくなるので、柔軟性と集中の両方の良い部分が得られます。 一方、会社に対する期待は高くなります。それによりスタートからより多くの支出と圧迫感が生じます。これが会社の悪いところです(例としてColorやClinkleを考えてみてください)。

中でも最悪なのは、わずかにでもクレイジーなアイデアに取り組まなくなるということです。「これは趣味ではなく会社なのだから、尊敬される良いアイデアと思われるものに取り組まなくては」といった具合に。単なるプロジェクトで、会社がまだ存在しない状況で「会社のために」言って喜んで取り組むということには限界があります。単なるプロジェクトであればそれが愚かなものに見えるリスクはほぼゼロであり、あなたが失敗しても誰も気にしません。従って、あなたが「派生的ではあるがもっともらしく聞こえる」ムダなものではなく、何か良いものに取り組める可能性はとても高くなります。

プロジェクトに取り組むときには、長い時間をかけてアイデアを検証できます。 それが会社であれば、時間は刻々と経過し、人々は結果を期待します。 これによりプロジェクトは危険にさらされます。多くの人がそうしたことを一生懸命働かない言い訳にします。周囲からの圧力がなくても一生懸命働ける自己規律がなければ、プロジェクトは怠けるための免罪符になる可能性があります。

最高の企業は、とても良いとは言えないアイデアから始まります。それらはプロジェクトとして始まるのです。実際、企業としてそれらを守る必要があったとしても、それが重要に思えず仕事に取り組まない創業者もいるでしょう。 GoogleとYahoo!は大学院生のプロジェクトとしてスタートしました。 FacebookはZuckerbergが大学2年生の時のプロジェクトでした。 Twitterは全く別の事業を行なっている会社の中の一人のエンジニアから始まったサイドプロジェクトでした。 Airbnbは、家賃を支払うためにお金を稼ぐためのサイドプロジェクトでした。 これらはすべて後に企業になりました。

これらは全て、最初は悪いように見えて最終的には良いものだと分かったアイデアでした。これは大きな成功のための魔法の公式です。 会社の立ち上げを急いでいたら彼らは失敗していたかもしれません。 周囲(内部)の期待から生じるプレッシャーは常にあってもそれは捉えにくいもので、魔法のようなアイデアの数々を殺してしまうことがよくあります。 偉大な企業は大抵の場合、プロジェクトとしてスタートしているのです。

 

 

著者紹介 (本記事投稿時の情報)

Sam Altman

Sam Altman は YC グループの社長です。彼は Loopt の共同創業者兼 CEO でした。Loopt は 2005 年に Y Combinator に投資され、2012 年に Green Dot に買収されました。Green Dot で彼は CTO を務め、現在は取締役です。Sam は Hydrazine Capital も創業しました。彼は Stanford でコンピュータサイエンスを学び、その間 AI lab で働いていました。 

記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文: Projects and Companies

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