メトリクスの変化を分析する(Part 3):季節要因 (Sequoia Capital)

 

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このシリーズのパート2では、製品の要因がどのように指標に影響を与えるかについて検討しました。この記事では、季節に関する要因を考えてみます。季節性はしばしば、主要な指標に劇的な変動を引き起こします。人々は時間や状況に応じて異なった行動をとるからです。そして季節性は、データを利用して分析できる最も重要な影響の1つです。

季節性

季節性 (Seasonality) とは、ユーザーの行動の周期的な変化を表す広義の言葉です。例えば、人々は1年の始まりに新年の誓いを立て、行動を変化させます。少なくとも、少しの間は。図1では、30分以上運動をする人の割合が1月1日以降、大きく増加しています。季節性のその他の例としては、時間、曜日、季節等による行動の変化が挙げられます。これらを、運動する人の割合に同様の影響をもたらしたポケモンGOのローンチといった外部的要素と切り離すことが重要です(図1参照)。これらの外部的変化については、来週の記事で取り上げます。

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季節性の分析

季節性は多くの場合、主要なメトリクスの変化の根本原因となります。そのため、行動に変化をもたらす要素のうち、最初に検討するべきものとなります。

どのような行動の変化でも、それを適切に分析するには、製品の全体的なエコシステムを理解しなければなりません。例えば、若者が夏に何をするのか、中年女性がどのように買い物するのか、Androidを利用する人々が、iOSを利用する人々と比べてどのように行動するのか、どのような人々があなたの製品を初期に受け入れる人となる可能性が高いのか、といったことを知ることが重要となるかもしれません。

このエコスシステムの理解によって、適切な疑問を持ち、良い仮説を立てることが可能になります。行動変化の効果的な分析は、ほとんどいつでもそこから始まります。主要なメトリクスの変化の根本的な原因は何である可能性が高いか。自分自身に問いかけてみてください。季節性が原因なのか、ユーザーが飽きてきているのか、製品に対する認識にポジティブ、もしくはネガティブな変化があったのか。これらのような仮説を立てることができるかもしれません。主要なメトリクスが変化した理由について、仮説の包括的なリストができたら、さらに探っていく準備が整います。

季節性が変化の要因であるという仮説を試す際には、いくつかのアプローチを取ることができます:

前週比の動き

大半の製品は、曜日の影響を非常に強く示します。人々は平日には、週末とは異なった行動をとるからです。この影響を除外するには、対象となるメトリクスの7日(または7日定期の)平均を利用します。例えば図2は、Yelpの利用に関して、週末に利用が増大する、週ごとの強力なパターンを示しています。7日平均を使わないと、週単位の変化は日毎の変動の中で見失われてしまいます。

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(ソーシャルアプリではしばしば、同様の効果が1日のうちで見られることに留意してください。ほとんどの人が、日中よりも夜にソーシャルアプリにずっと多くの時間を費やすためです。そのようなアプリに関して、調べた最小の単位が日毎の利用量だとしたら、その兆候を完全に逃してしまうことになります。)

前日比の動き

日々の変化を検証したいと考えているなら、図3に見られるように、各曜日で重なるようにしてみてください。このアプローチはさらに細かい情報を与えてくれます。例えば図3は、第3週がその他の週に比べて、高い時はより高く、低い時はより低かったことを示しています。

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前年比の変化

データの年々の傾向を観察することは、季節性の影響を特定するのに最も有効な方法の1つです。この方法では、クリスマス休暇、新学期前のシーズン、お祭り、寒さ等の影響が明らかになります。そして、それらの主要指標に対する影響が長期的にはさらに強まっているのか、弱まっているのかを見極める役にも立ちます。

例えば、図4の左のグラフは、eコマース企業の収益の7日定期平均を示しており、明らかに増加しています。変化がより不明瞭なケースによっては、28日といった長めの定期平均を使うことで、長期的な指標の傾向を示すことができます。(図4の右のグラフを参照)

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しかし、28日定期均では、主要指標が年ごとにどのように増加しているかをほとんど示すことができません。年末(クリスマス休暇の時期)に向けて大きく増加していることは分かりますが、その他の傾向はほとんど認識できません。その代わりに、前年比の指標を見る必要があります。(図5の左を参照)そうすれば、季節的な傾向がよりよく見えてくるでしょう。

図5の右の図は、同じ28日定期平均のパターンを前年比で示しています。1年のうちの変化はより明確です。5月から7月の間の収益が季節性によって影響を受けていることがはっきりと分かります。収益は5月いっぱい減少し、6月初旬に急速に上昇をはじめ、7月4日ごろまでまた減少し、そこから2016年と2017年には、おそらくセールのイベントによって、大きく増大します。これらのイベントが毎年起こることを理解しておくことは、将来の計画に役立ちます。

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前年比の変化は、ある年と次の年の収益の割合をグラフにすることでより理解できるようになります(図6の左の図を参照)。2016年は年間を通して、前年比の収益成長が減少しましたが、2017年には、著しく改善しています。1を基準に指数化することも、1年の最初からどのような変化がみられるかを理解するのに有効な方法です(図6の右の図を参照)。このケースでは、前年比の観点からは、この会社が事態を好転させた2017年が最高の年であったことが分かります。

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比較

同様の客層をもつ他のアプリと主要指標を比較することでも、季節性を分析することができます。例えば、あなたのアプリが若者層をターゲットとしていて、主要指標が8月と9月にシフトするとしたら、Snapchatのような、同様の客層を持つ別のアプリのデータを取得し、同様のシフトが見られるか確かめてみましょう。もしそうだとしたら、新学期前の影響がシフトの原因となった可能性が高いです。

この分析では、マクロな傾向を特定するために、最低でも7日間の平均をとり、1を基準に指数化するのがベストです。他の地域(そして異なる学校の日程を持つ地域)のアプリとあなたの指標を比べることも、この影響を特定する役に立ちます。

重要なポイント

  • 季節性に基づく行動の変化はしばしば、突然に主要な指標を変化させます。
  • 季節性の影響を見つけ出すには、複数のテクニックを利用することができます。

 

この記事は、Sequoia CapitalのData Scienceチームによるものです。Jamie Cuffe、Avanika Narayan、Chandra Narayanan、Hem Wadhar、Jenny Wangが執筆協力しています。質問、コメント、その他のフィードバックにつきましては、data-science@sequoiacap.comまでメールでお送りください。

 

著者紹介 

Sequoia Capital (Medium)

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記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文: Analyzing Metric Changes Part III: Seasonal Factors (2018)

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